37.2

心理職、休職中。

休職15日目

 

朝一再診。

開院時刻2分前に着く。既に待合室は満員に近い。

でもその半分弱は付き添いの人なので、30分も経つと殆ど人が捌けている。

傷病手当金の申請書類は来月でなければ出せないとのことだったので引っ込めた。

診察室に通され、最近どうかと問われる。

休職以降、慢性的な気持ちの落ちは減っているが消耗しやすく日中の変動があること、睡眠導入剤はうまく効いていることを伝えた。

次に、復職はできそうか、と問われる。

思ったよりダメージが深刻だったとわかってきた現状では、正直なところ自信がない。今月中にドクターに相談して判断したいと伝えた。

前回と変更の無い処方箋をいただき、また二週間後に再診、と。

 

受診後、駅近くの百貨店に入っている大きな書店へ行った。

心理の専門書の棚が驚くほど広い。

自分につけられた診断「うつ」について、じつは不勉強ではっきり知っていることって少ない。

抑うつ状態とうつ病の違いはなんだろうとか、医師はどのようにDSMなどの診断基準を活用して診断を下すのだろうとか、具体的にどのようにして心理療法的なアプローチを進めるのだろうとか。

明確な答えは分かれるとも、臨床においてのベーシックなイメージが欲しくて。

通院しているクリニックでは経過報告と与薬のみなので、セルフケアについてきちんと心得ておきたいわけ。

ある程度、状態も改善してきたところなので、そろそろ自分の病について学んでみても良いだろうと思い、うつ病に関する書籍を二冊選んだ。

ついでに、酒井駒子の絵本を二冊購入した。

一冊は、職場の先輩のために「金曜日の砂糖ちゃん」。もう一冊は、息子のために「よるくま」。

 

午後帰宅して、片付けや夕飯の支度など家事を進めた。

休憩しなくても調子良くからだが動いた。

インゲンの胡麻和え、人参の炒め物、肉そぼろ、たまごそぼろ、残っていたひじきの煮物。

贅沢にも五食丼。

 

明日は、職場の先輩に会う。わざわざ休暇の日に、こちらの最寄りまで来てくださるとのこと。

今日は夜勤明けなのに、午後の遅い時間までLINEのレスをくれて、先輩の体調の方が心配だ。

先輩と近しい表現に括ってはいるが、親より年齢が上の人なので、自分のからだをよく労ってほしいと思う。

「そんなに怖がらなくても大丈夫よー」って、絶妙な距離感で慎重に歩み寄ってきてくださる感じ。

ああ、これが対人援助のプロか…って感じるんだよぉ。

歴がちげぇ。人生経験も場数も感覚もちげぇ…ガチプロが私にちゃんとフォーカスして働きかけを…心地いいわけだ…。

明日会うことに、全く気負いが無いかと言えば、そんなことはない。

あんな醜態を晒した後だし、どんな顔して会うのがいいかわからないのが本音。

気恥ずかしい、も少しある。それよりも大きいのは、相手に身を委ねることの怖さ。

どうして他人様に傷口を預けなければならないのだ、なんて威嚇し己を罵倒する何者かが暴れている感覚。

適当な世間話でごまかして時間を繋ぐなんて体力はない。

でもきっと、そんなこと、先輩は百も承知で会いにきてくれるのだから。

下手に作り込もうとせず、今のヘタレな表情で、待ち合わせ場所に突っ立っておけばいいのかもしれない。